愛されキャラ研究ということで、
純日本産男子フィギュアスケート銀メダリスト宇野昌磨選手の話題です。
10年以上前からテレビで見かけているというだけなのですが、おばちゃん、目が離せないのです。
生育環境を妄想する
2006年8歳の時
「ジャンプとかジャンプとかがあんまりだめだからジャンプとか(練習頑張って克服したい)」
2007年9歳の時
「得意なのはえっとステップ、ステップで、ステップの中のは、まあステップ」
テレビカメラとマイクの前での小学生のコメントとして立派そのものなのですが、その口調がおばちゃんのツボでした。ストレスで多動性が出てしまうけど動き過ぎがプラスになる環境に置けば大物になるタイプの片鱗を感じさせました。
13歳(中学生)の時、偉大なる大先輩選手、高橋大輔さんのジャパンスーパーチャレンジでの演技について、感想を求められたとき
「ジャンプもよくて、ステップも…少し躓いていたけどうまかったので良かった」
とにこにこしながら爆弾発言?し、真横にいる高橋選手をずっこけさせてました。
このあたりでもし雑多で修羅な集団に単身投げ込まれたらボコボコにされていただろうと思うのですが、男子フィギュアは、個人主義の子、育ちのいい子、他者に興味の薄い子が、一般社会に比較して多いこと、また小さい頃から親御さんやコーチ、周囲を信頼して愛情をこぼさずに受け取ったために、すくすくと育ったのかなと思います。
フィギュアに限らず一線級のスケート選手の多くは拠点を海外に移し、外国人コーチに師事することが多いのですが、 宇野昌磨選手は真の純国産選手と言えそうです。夏季の合宿を除き拠点は日本、コーチもコレオグラファーも全員日本人というのはとても珍しいと思います。
本人をよく理解する人の中で凸伸ばしに過集中してきたんだなと。感慨深いです。
凹のケア、矯正を軽視し過ぎて先延ばしにして凸を伸ばしすぎたとき、凸こそ自己そのものであると固執してしまい、凹の能力の部分が本人や周囲が認められず、思春期前以降、集団・社会との軋轢に苦しむというパターンに陥りやすいのですが、
高校生になっても、自分をよく見せようという欲や虚栄心がないピュアさを維持。
2015年韓国での大会の時に、3年後同じ韓国で行われる平昌オリンピックについて問われて
「ピョンチャンって韓国なんですか」わからないことは聞こうね、というソーシャルスキルがきちんと入ってますね。
勉強にははまっていない?と聞かれて
「はまれるわけがない」と苦笑い。適当にごまかすことはしないですね。
2016年ごろ18歳の時GPロシア大会前、2勝目をと励まされると
「試合の時に起きていられたらいいかなと思っています」にっこり。
「勉強はやっておけばもう少しましな頭になっていたと思いますけど」にっこり。
いやいや、頭はいいと思うよ、でも興味ないことはほんとに一切しないんだろうなってのも伝わってくるよ!
「リフレッシュしなければと思うがやることがない」にっこり。
トレーニング中につけているヘッドフォンが大音量で、
スゴイ音もれしてますよとTVクルーに言われたときのコメント
「ご清聴ありがとうございました」にっこり。
食事を出されて
「嫌いな野菜がいっぱい入っていておいしい」
(宇野選手は偏食が強く、野菜が大嫌いです)
羽生選手が靱帯損傷したときに、それについてどう思うのか
対立を煽りたい、言質を取りたいテレビに聞かれ、
「一番本人がつらいと思うので、僕がどうこう言うことではない」
ときっぱり正論で返し、インタビュアーを敵に回しました。
インタビュアーはしつこくて、日本のエースのアクシデントから何か教訓をえましたかと問い、僕も気を付けようと思うとか、ゆづくんの分まで頑張りたいなどというという安っぽい言葉を引き出そうとする黒い誘いにも毅然と
「人のけがをしたところをみて見てそういうことは考えてはいけない、答えたくもない」
と、これまたきっぱり。敢えて空気を読まない強さを感じさせました。テレビ的にはちっとも美味しくない返答でしたのであまり取り上げられませんでしたが。
2017年秋頃、弟の樹くん(当時15)がテレビで兄昌磨選手について「基本、肉肉肉です。朝起きたら焼肉とご飯、昼も焼肉とご飯、夜はまた焼肉。三食、焼肉です」
「とにかく負けず嫌い。ジャンプがうまく行かない時は泣いて家に帰ってきた」と暴露。なおそんなときも焼肉を食べれば機嫌が直ったそうです。イチロー選手にも通じますね。でも、一般人は偏食強すぎると生きにくいですので、まねっこ注意です。
パーマでイメチェンしたときのコメント
「これがパーマかどうかもわからない。寝て起きたらこうなっていた」
最高ですね。自分が美容師なのかトリマーなのか、施術するほうもわからなくなるかもしれない…
「朝早いのは苦手」お約束ですね!
いやあ、素晴らしい。凸伸ばしと愛されキャラの両立を成しえたお手本ですね。存在そのものが芸術です。
心配事はゲームの通信環境
宇野選手はストイックで負けず嫌いで演技へのこだわりはものすごいのですが、基本的にはいつもほのぼのとしてぽえっとしていて、緊張もあまりしないそうです。
そんな宇野選手でもオリンピック前にとても心配したことがあります。ゲームをやるためのWi-Fi環境が整っているかどうかです。接続できたようで、休み時間や移動時間は大好きなゲームで、だいぶリラックスできていたそうです。
「(選手村は)日本にいる時よりもゲームができているので満足でした。ずっとぐうたらな生活を送ることができて楽しかった」
内村航平選手のようにローミング接続によるパケ死しなくてよかったですね!
失敗を乗り越える練習
ショートプログラムの後、「緊張すると動き過ぎてしまうタイプなので」と発言していらしたのも記憶に新しいですね。静かにして座っているよう重圧を感じると教室を飛び出してしまうお子さんと仲良くなれそうです。
「僕は(最終だったので他者のフリー演技を)全部見てたので、自分がどんな演技をしたらどの位置にいくか大体分かっていて。」さすがにその状況はストレスだったのでしょうね。
「もし僕が1位になるとしたら、本当に完璧な演技したら点数で1位になれたんですけど、1個目の(4回転)ループを失敗した時点で、ちょっと、もう...笑えてきました」
「そこまで冷静だったのですか」という問われると
「そうですね。1個目を失敗した時点で、もう頑張ろうって、なんか焦ることなく、笑いが込み上げてきました」とにこにこ。ここで笑って立て直したのがいいですね。
その後はく4回転フリップを成功させると、4回転トーループ-2回転トーループの出来栄え点による減点はあったものの、残るジャンプの要素をきちんとまとめあげました。
演技を終えてリンクから引き上げた際は、樋口美穂子コーチと抱き合って「あぶねー」とこぼしてましたが、表情はほのぼの。
初の五輪出場ながら銀メダルを獲得なさいました。
「悪い中でワンミスに抑えられる練習をしていたのが、本番で生きた」ともおっしゃってました。
徹底した凹補正の準備と、笑いで気持ちを整えるスキルがうまく機能したのではないでしょうか。これは見習いたいですね。
「一つ目で失敗して、あとは自分のことだけ考えようと」
できる範囲でできることにこだわり続ける、このメンタルを作り上げたのは本人だけの力ではないと思いましたよ。素晴らしい支援者がいるんだな、と思いました。
「樋口先生が今までで1番喜んでくれたので、それはすごく嬉しかった」というのも、ひょうひょうとした愛されキャラらしいですね。
自分の感情の変化を認識するのがとても遅い、あるいは、自分の感情に興味がないなどの理由で、よくわからない人は結構います。
失言も愛される?
「僕にとって五輪の銀メダルは他の試合の銀メダルとはあんまり違いを感じなかった」
えっ
「なぜ泣いているのかわからなくて。羽生選手にとって特別なんだろうなと思ってました。でも僕は五輪だけを目指していたわけではないので」
あ、う、うん、だよねっ。
羽生選手がハビエルフェルナンデス選手と宇野選手を泣きながら抱き寄せたときも、
「なんで泣いてるのかな、同じクラブだからかな、ハビエル選手が現役長くないからかなと思って」
なんで泣いてるのかわからなくてもとりあえず流れに合わせていいんだよ…、理由を分析しなくても大丈夫だよ…まして、その不思議だった気持ちをテレビに言っちゃうとかスターアスリートとしては最高だけどリアル集団内でやると敵作るかもよ…
はらはら
先のことはわからない
4年後の北京五輪についても「先のことはあんまり考えないタイプなので。これから先何が起こるか分からない」とお返事。いやあ、ずうずうしいのはわかってますが、飾らない言葉に親近感わいちゃいます。
インタビューで「この後表彰式もありますけど、どんな気持ちですか」と聞かれると、豆鉄砲鳩の顔で
「この後に表彰式あるんですか?」
とまさかのリアクション。素晴らしいですね。仕込みでもここまで素晴らしいリアクションはできませんよ。
「メダルセレモニーが夜あります」と教えられると、「う~ん」と上を向き、「そんなになんか、特別な思いはやっぱりなかったですね、最後まで」と、ぽえっとしてました。その後も「焦ることなく笑いながら演技できたと思いました」とやはりニコニコ。オリンピックという大舞台についても
「言い方は悪いかもしれないですが、僕にとっての通過点で、特別な思いがなかったから、特別な緊張が最後までなかったんじゃないかなと思います」
と泰然自若
人が好きだから人から嫌われない
五輪に特別な思いがなかったとか、ともすれば叩かれてもおかしくない際どいコメントが多いのですが、宇野選手からにじみでる愛されキャラの空気、叩こうという流れにならないようで、凸伸ばしに成功しながら愛されキャラでもあるなんて大成功例ですね。
※おばちゃんは、凸の伸ばし過ぎは、理解者の中でしか生きにくくなるので、庶民はまねしない方がいいと思っています。
「(銀メダルを)かけたい人がいれば、みんなかければいいなって思います」
大の男なのですが、なんとも、かわいいです。
弟さん、宇野樹(いつき)さんによると、普段あまり話す方ではないそうです。スケートが、インタビューがあるから仕方なく話していて、そうして絞り出したコメントがいわゆる宇野語録になっているのでしょうね。
寝たい
2018年2月18日夜中居さんのインタビューを受けにスタジオに入ってきた宇野選手は冒頭中居さんに
「こんなに眠そうな宇野くんはほんとに初めてですね。銀メダルを取るとこんなに睡魔に襲われるのではって感じてるのでは?いかがでしょか」
と聞かれると、
「オリンピックメダリストっていうのがこんだけ大変なんだなっていうことを、これがオリンピックなんだなというのを実感しています」
(ここでやっとオリンピック銀メダルの価値が分かった模様)
冒頭の4回転ジャンプ失敗の後笑ったことについてTBSでこう語っています
中居さん「言葉悪いですけど、にたーってしていましたよね」
宇野選手「そうですね、なんか笑えてきました」
鈴木明子さん「次元が違うので...これは世代の違いなのか分からないですけど」
宇野選手「あまりにも早すぎる失敗だったので...ちょっとおもしろくなっちゃって、早すぎだよって」
中居さん「最後に。今何がしたいですか」
宇野くん「寝たいです」
こんなふうに天然マイペースでいられる立場、環境の中にずっといられることを祈っています。同じ星から来た優しい不思議ちゃんか、引っ張ってくれる多動なパートナーが向いてそうですね(スーパースターに対してどこまでもおせっかいなおばちゃんでごめんなさい)。女子スケート選手でしたらどなたが合いそうでしょうか。
注意!
大人の発達凸凹も子どもの発達凸凹も、環境や関わりによってプラスにもマイナスにもなり障害と呼ぶべき状態にもなり得ます。
彼くらい凸が突き抜ければ不思議発言も愛されますが、一般の集団内ではおそらく、否、確実に弾圧を受けます。一般家庭の力では理想の環境を整えきれません。くれぐれも凸の伸ばしすぎは気を付けてくださいね。
こんなスターをお手本にしてもしょうがないというのももっともですが、
・自分の成長にはこだわっても、勝ち負けにこだわらない
・マウンティング(おれのほうがすごいんだぜ発言)しない
・人が好きだけど、人の目を気にし過ぎないから、人に嫌われない
・笑うこと、好きなことでメンタルを支える
など、私のような庶民で大人のADHD アスペルガーでも見習うとよさそうなところがたくさんあります。