個別の要望は最後回し
集団のリーダーは、個々の要望に無闇に応えてはいけません。
消費者が「物価を下げてほしい」と言うからと物価を下げてはいけないというのと同じです。
しかし、保護者は、ひとたび苦情や要望を伝えなくてはと思うと、相手が集団のリーダーである事を忘れがちです。そして、さしたる作戦も持たずに、要望を述べてしまうのです。
これは戦略ミスです。
仕組みの中で
集団を司る学校、担任の側からしますと、集団・組織であることを理解していないかのような保護者の要望は「近視眼的ワガママ」に見えていることが多いです。
えっ、だって個性を大切にしていきたいと学年だよりに書いてあったじゃない、と思うかもしれません、しかしそれは建前です。
集団において「個性を大切にする教育」というのは確かに行われていますが、
「個性を大切にする教育
※ただし、集団に利益をもたらす個性に限る」
の但し書きがついている、と思った方がよいです。
いわゆる問題行動を伴う個性は、どうでしょう。
実はこれ、他の子達の教育にとって有効なので、利用されている重要なものです。
「個性派をつるし上げて、多数派の自律を促す」、これも、学校的な「個性を大切にする教育」のうちなのです。
個性をつぶすリーダーは悪いだの、要望を聞いてくれる担任がいいだのという話ではありません。
聞くべき要望をいかに拾い、聞くべきでない要望のガスをいかに抜くか、です。
学校とは、集団とは、そういう仕組みなのだと思います。
親は、その仕組みを否定するのではなく、その仕組みのなかでいかに挙動して、いかに親子の長期的利益を確保するか、知恵を絞るべきです。
理不尽だと思われますか?そうお感じになるのも無理はありません。知性で本能に抗うことこそ、反逆であることは知っておいた方がよいでしょう。人は、人である以前に、サピエンスなのです。
続きます。
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