なぜメモがいいのか
一般的には、メモやノートは、正確な情報を記録し、あとで振り返ることに役立てる場合が多いと思います。
しかし、今回紹介している手法は、情報を得たり、振り返ったりするためというより、やりとりの過程で得られる、話し手と聞き手の心理的効果を重視しています。
・子どもが教える役割、メモする親は教わる役割、というように、普段と逆の役割を行うことで、お互いに相手の気持ちを考えるきっかけにする
・記憶や感情を言語化し、整理、分析しやすくする
・情報と感情を整理、分析するとストレス負荷が下がることを実感させる
・相手に伝わっているのかいないのかが読めばわかるため、伝わりやすい話し方を意識させるきっかけにさせる
・メモっていいな、ノートってすごいなと思ってもらうきっかけにさせる
(敢えて、「させる」という使役の言葉を用いました。もしかして発達障害グレーゾーン、あるいはHSCとても繊細な子、といった特性のあるお子さんであれば、意図のない関わりから誤学習し、しかもそのまま修正なしで大人になってしまいかねないので、意図を持って関わることをおすすめしています。そのため、敢えて「させる」と書きました。)
特に、他者や他者の表情に興味を持たないお子さんは、相手が話の内容をわかっているのかわかっていないのか、普段の生活ではさっぱりわかっていません。
書かれたメモを見ることで、そのようなお子さんに
「あれ、伝えたつもりなんだけど、うまく伝わってない。」
ここから、意思疏通を一方通行でしようとすると伝えたいことが伝わらないんだ、ということを体感してもらいます。
「わかるように話して」
「相手のこと考えて話して」
あるいは
「何度言ったらわかるの?」
こういった、耳にタコな言葉と併せて、
「話し方、受け取り方に工夫の余地があるみたい」
と気付かせる機会にします。
もちろん、話し方、受け取り方の改善をお子さんだけに求めるのは信頼関係に悪影響ですから、保護者など支援者側も、工夫をお子さん側だけに押し付けるのではなく、謙虚であるべきでしょう。
続きます。