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ご質問箱の続きです。
家庭は面白失敗ハウスに
ごめんなさい。決めつけます。情報を勝手におばちゃんが補うけど許して…ひょっとして。親御さん高学歴高収入、正しくあろうとしすぎるんじゃないかな。
今の環境についての問題点と、お嬢さまの課題。はっきり把握なさってる。お見事と言う他ない。しかしだ、良くも悪くも目線がプロすぎるんだな。正しすぎ。
ASD児に慕われている大人よ、もっと間違ってくれ。そして許されてくれ。
確かに、揺るぎないものを好むタイプの子は、間違わない大人が好きだ。
でも、彼女らにとって必要なのは、自分も正しい大人になるぞという強迫観念ではないはずだ。
人は間違う、自分も間違う、間違ってもわからなくても、地雷を踏んでも、反省がなかなか活きてこなくても、何度でもごめんねして、試行錯誤をして、許されようが許されまいがなんだかんだやっていこうよってことを体に染み込ませることこそが、やらかしがちな発達障害児の人生に少しの可笑しみとぬくもりをもたらしてくれるとおばちゃんは思うよ。
「間違ってもいいの。同じ間違いを二度としなければいいのよ」
という、一見理解ありそうな言葉を浴び続けた子達は一歩も動けなくなる。
どうか親御さん、お子さんに好かれているうちに、くだらないこと含めてたくさん間違ってください。ごめんなさいしたり、真摯にわびたり、ときには逆ギレしたあと土下座したり、埋め合わせをしたり、歌って発散したり。あやまちフォローのバリエーションを開発して、お子さんと共有してください。
手探りで、お子さんの、容赦スキルと謝罪スキルの引き出しを作ってあげてください(関係性が良くないときはお子さん側の受け取り方が真逆になりますので、注意してください。詳しくは天邪鬼モードの子に関する記事、声のブログをご参照頂くか、ご相談ください)。
正しさを愛しすぎる親御さんのもとには、しばしば正しさを愛しすぎるお子さんが生まれ、純粋培養されます。
純粋培養された正義感は、園や学校、あるいは公園というカオスな異文化(本能が知能よりも先に育つ)体験施設で、片っ端から否定されます。
興味深いことに、正しさ信仰が強ければ強いほど、高難度な体験をすることになります。
時間も約束も人権も学ぶ権利も心の安全も正しい言葉遣いも守られない中で、知恵を使ってサバイバルするという謎解き脱出ゲーム。
知能が高く、正しいことにこだわる(自分ができるかどうかは別)子には難度が高いコースが用意され、ヒントがたくさん必要です。その代わり謎が解けたときの実りも多いようにできています。
学校というカオスでのカオスな活動の数々。お嬢様にとって、逆境掛け合わせの嵐でしたよね。酷い目を体験しましたね。
でもおかげで、成長のためのシミュレーションもこれから 捗ります。絡まれて、とてもしんどかったと思いますけど、長い目で見るとねblessings in disguise。
こういうカルチャーショック経験してない子は親御さんがなんともしてあげられなくなってから一人で部活トラブルや友達トラブル、恋愛絡みなどでの四面楚歌や孤独を乗り越えねばならないのです。
ぶちのめされて、心をしなやかにするエクササイズの機会を得られた子は実はラッキーなのです。
知能が高めなら
【園・学校に行く理由は、幼児性万能感ベースのアイデンティティをぶち壊すためとする説がある】
ぐらいの情報を持たせてあげたほうが、環境を有効に使える可能性が上がります。
とは言うものの、今更っすよね。すまん。
実際、いろいろがんばって刷り込もうとしても、すぐに機能するとは限りません。きちんと育ったASDの子たちは、誰の言うことでも鵜呑みにするというわけではありません。自分軸で深く考え、
「どう考えても正しいなら正しいでしょ?なにがいけないの?」
と思うものです。
まして、完璧主義と正論の使い手であるお嬢様。正論を受け止められない同級生以上、つまりリスペクトできない同級生以上とは、親御さんが何を言おうと、対等な関係を築かない状態でしょう。
同級生と対等な関係。どうすればよいのでしょう。
一般には、
「クラスメイトの、良いところを探してみよう」
と教えて、正しさへのこだわりをほぐそうとします。
ところが、ナチュラルボーン高IQ、ASD、とにかく評価が厳しいんです。人にも、自分にも。
まるでメイドインジャパンの精密機械と名匠が行う品質チェックよ、それで人間を判定してます。
幼児期に目に映っていた親の様子をベースに、人の良し悪しを判定しているフシはありませんか。
人間は一神教的な神にはなれません。しかし、子どもファーストな親御さんて、幼児から見ると完璧な存在、いわば唯一神に見えてしまうのです。
神を基準にして、関わる相手を選り好みしてたら、同級生つまらんとか、野蛮だってなるわけです。そりゃあ友達なんてできないですよね。*1
親御さんは、これまで正解を求め続ける姿を手本として見せてきて、それが実ったということではないでしょうか。
次のフェイズでは、自分の信じる正しさも大切にしながら、ケ・セラ・セラモードを駆使して人生の荒波をゆらぎとして楽しむ、そんな醍醐味を知らせることにコストを割いていただけたらと思います。
続きます。
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*1:友達を作れない、作らない理由にはいろいろあります。この面については選人眼というギフトの現れとも言えて。 信頼するに足る至誠の男としかマッチングしないというチートにもつながるので、実家太い女子ならありっちゃあり。なんだけど落とし穴もあって、その話は長くなるから割愛。対策としてはね、対等であろうとすると上から目線になってしまうって子に「孫悟空を見下しつつ横暴を許す、お釈迦様の視点」みたいなものを体験させてみるのも吉よ。うっすら見下すことは許したほうがかえって居丈高にならずに済むのよ