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もしかして発達グレー研究所~凸凹ハートの幸せを考えるブログ by QOLT

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【質問箱22-6】高IQのASD女子の二次障害克服方法

前回はこちら
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ASD女子は子供時代はラクな孤独を愛するが、思春期以降異常に寂しがりになる子がいる

ASD女子親あるある。
友達ができないけどすごくほしい。できそうな仕事が限られている。だからこそ
「いい学校へ入るといい友達ができる」
「頑張るといいことがある」
「男に頼らず自立を」
「世のため人のためになるやりがいある仕事なら楽しいよ」
「自分の仕事とお金があったほうが人生は楽しい」
というド正論風メッセージを伝え、お勉強がんばらせるのがこの子のため、とお考えのご家庭も多いと思います。

これ全部呪いだよ。

こういった綺麗事的な入力データに囚われて、現況優先のできない子が盛大にこじらせるんだってば。

無責任な世間は雑な綺麗事を刷り込みっぱなします。だからこそ、個々で調節しないと偏ってしまうのよ。理想と現実の葛藤からほどほどを学ぶという仕組みが身についていない子にとって、大人としての健全な社会生活からはぐれていくトリガーになりかねないのです*1


しかも、何気ない言葉を、何でもかんでも数学的な命題としてとらえ、逆や対偶もまた真だと認識する習慣がついてしまうんです。
https://rikeilabo.com/proposition-formulaより

「男は大変」
と聞いて
「女は大変じゃないと言われた!キーーーー」
みたいな人よくいますよね?言ってませんけど…思ってたかもしれないけど、それは邪推というものですよ案件。

これいわゆる定型発達(典型発達)の方にももちろんよく起きています、ハイストレス下だと特に。

とはいえ、いわゆる定型の人って、忘れる力が優れているのです。忘れることさえできれば、過去との整合性とか全く必要としません。当然、葛藤もマイルドです。

しかし高知能、高記憶力の子はどうでしょう。この調子で情報処理していたら?…心が休まるわけがないのよね。過剰な深読み習慣とでも言うべきか…。

こじらせやすい思考凸勢は、日常的にも、この思考を無意識に炸裂させてしまうのです。そう、いろんな感覚過敏があったり感受性豊かだったり味方判定厳しかったりなんだりで、日常がハイストレスなのよ。

空気を読まないASDの子に
「人の気持ちを考えましょう」
「まわりをよく見ます」
だのと刷り込むのは百歩譲って許す、でも、フォロー必ずしろよ?!!!とおばちゃんが日々叫んでいるのはこれ。

人の気持ちを考える機能がないように見える幼児やガチのASDでも、時間差で、ものすごい高いレベルの深読み洞察力や客観視の力がついてくることがあるのよ。

「え、一生苦手なんじゃないの」
って?いや、そうとは限らない。複雑で大きなものを作るには、テントやプレハブ建てるよりも年月が必要なのだと思うよ。

深読みコントロール

ASDと幼少期に診断される子は、幼少期こそ空気読まない、人の気持ちを考えない。
でも、あとからすごい高度な深読み能力が実装されることがザラにあるのよ(ずっっとおサイコパスな人ってそんなに数いないと思う)。
そして、深読み力って、役に立つときは確かにあるのよ。だからなんでもかんでも深読みして、依存するのよね。
そうこうするうちに、必要な範囲、対応可能な範囲を容易に超えて、悪癖となって、依存を超えて執着になっちゃうと厄介。

今は無理でも、深読みの力を適宜緩和してバランスをとる方法を知って、バランスとることを習慣化していく必要あるよ。これは小学生でも、言語的に聡明な子はわかってくれるから伝えておきたい。あ、伝え方注意ね。正論ぶつける型が向かない子もたくさんいるからご相談ください。


ただ
「実際にできるようになるのはもっと先らしいよ、今は深読み力とか強すぎる力は、普段は下げておくとラクらしいと知っておいて、練習できそうなときだけでいいらしいよ」
というような説明を添えないと
「そんなのできない、無理」
という感覚で頭が一杯になっちゃうので、これも要注意。ほかにも気をつけるポイントはその子によって違います。おばちゃんと手探りしようよ。

こじらせるメカニズム

高知能のASDは、脳内情報をサーチして、違和感ポイントの有無や正誤を判定するのが得意です。
うまく使えば強みになるのですが、力加減や力の使い所を覚えないと、自己認知をこじらせるためにその機能を使ってしまうようです。

たとえば
「がんばってる子は素敵だねー」
ありきたりな言葉を、荒ぶる思考力は
・私はがんばれないので素敵でない
・私は素敵でないのでがんばらない
みたいな不幸な処理をしまくるのです。心当たりある方もいらっしゃると思います。*2


これ、さらに進むと、誰かが他人やきょうだいのいいところをほめたりけなしたりするたびに
・私にはそのほめられ因子があるだろうか→ない→私、価値なし
・私にはそのけなされ因子があるだろうか→ある→私、価値なし
こういった作業が習慣化します。

さらに
・私にもそのほめられ因子があるのにほめられない→この人嫌い、この社会、価値なし
・私にはそのけなされ因子はないのにほめられない→この人嫌い、この社会、価値なし
・私にもそのけなされ因子があるのにけなされない→この人も社会も、私のことなんてどうでもいいんだ
・昔は掛け値なしにほめてもらえたのに今はノーコメント→人生消化試合、この社会に価値なし

というような受け取り方を積み重ね、ジャッジする思考が習慣化してしまいます。

これね、決して心地よい習慣ではありません。


荒ぶる思考力は、味方にすれば心強いですが、その力が自責に向かっているときは、異常に手強いです。
止め方を修練していないと止まりません。止まれない思考は常に活動場所を探しています。こうして、自己か他者を攻撃する思考にハマっていくのです。


ASD的な子は、変化に弱いと言われています。1日の中では、家から出たがらないのに家に帰りたがらない、とか、お風呂に入りたがらないのに入ったら出てこない、みたいなのもよく聞きます。これは感覚的な変化の瞬間を好まないということかなと思ってます。

長期的なことに関しては、記憶との整合性を希求するせいだとおばちゃんは思います。
自己否定や社会への嫌悪に向かう思考は、
「正しいこととして入力された記憶との整合性」
を絶対的根拠にしているように見えます。

ですから、おばちゃんは、ちびっこ向けには、予防的に
「絶対はない、立場や状況によって正解は変わる、正解が好きなのはいいけど絶対視させるな、どうせ正義が好きなんだからバランスを教えろ、受験文化圏における正しさは実業や経済や学校の正しさとは違うことも多い、知らんけど」
とアドバイスしています。


もし、お嬢様と関われば関わるほど気持ちが遠ざかっていくと感じたら、こういう思考が発動していると考えて、おばちゃんブログのコピーや認知行動療法の本でもトイレに置いてみましょう。


正誤判断に執着がある子に、思考力と自己をモニタリングする力や他者と比較する力(客観視とかメタ認知とかいうのかな)がついてきたとき、このような特有の認知をするのではないかとおばちゃんは思うとるんよ。

認知の歪みのひとつですが、幼児期や定型発達の大人に見られる単視眼的、独善的な認知の歪みとは性質が異なり、脳内にたくさん積み重なった先行資料に基づいて自己否定を深めるという専門的な取り組みとなります。


善意の声掛けがその子を自己否定に駆り立てていく。こんなことを言ったら、親御さんたちは不安でたまらないですよね。ごめんなさい。でも、
高い思考力勢は、長期熟成して腐らせかねない…これは、ご自身が高思考力のこじらせ経験がないとピンとこないかもしれません。

「いい学校へ入るといい友達ができる」
「頑張るといいことがある」
「世のため人のためになるやりがいある仕事なら楽しいよ」
「自分の仕事とお金があったほうが人生は楽しい」

このような言葉は、高思考力の子の脳ではしばしば

いい学校ではないからいい友達ができない
いい友達ができないのでいい学校じゃない
頑張れないので、いいことはない
世のため人のことにならない、お金のための仕事にやりがいはなく楽しくない
仕事のやりがいがないのは世のため人のためにならないクソな仕事だからだ
自分のお金がないから人生は楽しくない

…と解釈されてしまうことがね、あるんです。あるんだよぉ。えーと、この理由はわかんないんだけど、ひょっとすると小さい頃から耳にする
「人の気持ちを考えなさい」
「言葉は大切」
等が原理原則化して、考え過ぎにまで到達しちゃってるのかもしれないね。



さて、ここに

【人に迷惑をかけてはいけない】

このダークマターが入ると、苦手なことがあったり不注意だったりする子は、人と関わること自体を避けるようにプログラムされますよ。いやマジだって。知らんけど。


人に迷惑かけない仕事、役に立てる仕事、やりがいある仕事、ギャラのいい仕事、そんなの奪い合いになるに決まってるよね。

よっぽど卓越するか、人を蹴落とさないとなれなさそうに見えてしまう*3。なったら目立って、かなりえげつない妬みや、批判を浴びる。

それでも、無理に頑張って手に入れた力で一生人の役に立ち続けようとする。それで生活もしていかなくちゃ、って。
おばちゃん、書いてて絶望するんだが…*4

世にあふれる、
「受け取り手が勝手にバランスを取ること前提で投げられる何気ない言葉」
の受け取り方を、ASDは知らないのよ。そこでひと工夫が必要です。

言葉と心の緩衝材を自分で用意するという工夫です。

緩衝材的キーワード

ASD風味における問題点と特技は紙一重。今回は問題点として扱います。

カメラに例えればオートフォーカス機能の不具合(良く言えばライカのような味のある絵が撮れる)。
車に例えればアクセル、ブレーキ、ハンドルの遊びがないことによる不具合や衝撃吸収力不足で一般道走行に向かない(良く言えばサーキット用)。

ASD特性がある子の中には、言葉の受け取り方が厳密で柔軟性を保ちにくい子がたくさんいます。
記憶も強い場合はさらに大変です。
アドバイスや情報のデータを大量に同時処理・実行しようとして、バグり、ネガティブな過去として一生抱えます。

たとえば、
・人の気持ちを大切にしなさい
・自分の気持ちを大切にしなさい
同じタイミングで言われたわけではないのに、時空を超えて同時に実行しようとして、まわりと自分の利害が一致しないと思うや、とたんに身動きが取れなくなるのです。

どうしたら防げるのでしょうか。

一般向けとしてはくどくなるのですが、敢えて緩衝材的なキーワードを挟み、断定的な言い方を避けます。

ASDの子の脳は、大人の言葉を原理原則として取り入れようとしてしまいがちです。何度も繰り返し言われればなおさらです。

ところが、大人はその場に応じて言うことを変えていますよね。
ASDのお子さんの中で、これまで積み上げた情報との整合性が取れなくなります。ぐるぐる処理中サインが出てしまい、処理速度が遅くなるのは当然です(処理速度凹には、ほかにも、デザインeyeや立体視eye、目や耳、気圧気温空気の匂い等採集データ&集積データ多すぎ、各種感覚過敏などなどのパターンがあり、それぞれの判別法や対処法は異なります。ご相談ください)。

処理速度が低く出ている理由が、聴覚情報の処理に時間がかかっている場合、
「という説があるらしい」
「と、言えなくもないかもしれない」
といった、言葉と心の緩衝材的なキーワードを入れます。

一般の人にとってはまわりくどくてうざったい言い方になりますが、ASD風味がある子は
「この人の話は複雑なのになぜかスッと聞ける」
と感じてくれるようです。ASDの方に人気の支援者は、だいたい緩衝材的な言葉を挟むのが上手いです。

問題は、おばちゃんや人気支援者みたいなASD用翻訳者を連れ歩くことができないことです。

そこで、おばちゃんの言う事興味深い、と思って頂けるならば、真に受けがちな御本人側で言葉を補うことを提案します。

「人は、しばしば言葉を端折るという説があるらしい」
とかね。
刷り込みます。

そして脳内で、他者の話に
(〜という説があったりなかったりするらしい)
(知らんけど)
(自分でも何言ってるかわかんないけど)
といった緩衝材的なキーワードを相手の言葉に勝手に補って処理するという、思考実験を促してみるのです。
 
どうやって刷り込んだり促したりするのかって?
おばちゃんは、お子さん、ご家庭等に関するお話をたくさんうかがった上で、緒を探します。
その子の大切にしている世界観に興味関心を持ち、謙虚に教えを請いながら、こちらのメッセージを
・上から目線でなく
・やらかし属のひとりとして
提供すると、跳ね除けなくなることああります。

「…」
「へぇ」
「ふむ」
「あー、あるかも」
「なるほど、それだわー」
と、だんだん反応が色良くなっていきます。

お子さんの世界観に興味関心を持ったフリ、わかったフリ、知ってるふりは、悪手。見抜かれてそっぽ向かれますよん。


続きます。
第7回もくじはこちら!
・定型のお作法と言語
・抜けない棘
・ASDと定型の間の壁は言語の壁
・異性のこと
・完璧主義禁止令
・目を見て話を聞くには〜情報量とトラウマが多すぎる説
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*1:おばちゃんは、高知能のASDに究極的に重要な初等教育は体の動かし方と体力作りとゆる支援だと思う。ゆる支援でまわりとの共生がうまくなると日常は生きやすくなるけど、災害級のインシデントでなくても、キャパを超えることってあるんだよね。身体使って発散とか、趣味でリフレッシュしようにも、要領悪い上に体力ないと、時間作れなくて、回らなくなる

*2:おばちゃんの祖母は、美味しい!と褒めると 「私はまずいものは出していない!嫌なら食べなくていい!」 とブチギレるヤヴァさのある人でした。彼女は、これ美味しいねって言葉を、これ以外はマズいねととらえていたわけです。実はおばちゃんも若い頃この思考クセを持っていて、誰かが褒められるのを聞くと、自分がけなされているという受け取り方をしていました

*3:実際には、ペイにこだわらなければ好きな仕事を選べる余地はけっこうあるんだよな。おばちゃんの後輩で、実家が太いマダムでな。デザイナーとかクリエイターのマネごと(おい)やってて、好きな仕事だけ選んで、丁寧にやってる。同業者には怒られるだろうが、採算なんてどうでもいいんだから仕方がない。かくいうおばちゃんの事業も、運営コストほぼゼロで好きを仕事にして小遣い稼ぎができてる。生活費は働き者の所長ががんばってくれているので全く心配ない。だから心穏やか、親切なおばちゃんでいられる。関連書籍は経費だ、積ん読増えすぎて買ってないけど。 お育ちのいいASD女子、ビジュアルがいいASD女子、気をつけろ。やっかまれることを防ぐ手段を知らなさすぎるぞお前ら。園や小学校中学校高校大学の間に「嫉妬」によってひどい目にあわないと、ピンとこないから、嫉妬浴びてたらいい学びだ!!と恍惚としてほしい(そこまでしなくてもよい)。 働きたくなくても働かないといけない生まれの人もいるんだよ。働かなくても暮らせるのに、やりがいーとか言ってると、妬まれても当然。 学歴フィルター突破できる大学入ってリクナビ経由で云々とか医師免許薬剤師免許必須とか思い込ませがちだけど、こういう外伝みたいな生き方も、知らせておきたい。ただし幼女の頃からゆるーい生き方でいい、っていうんじゃなくて、バキバキに悩んで苦しんで流れ着いた場所がなんとなく居心地がいいなぁありがたいなぁ、っていうかんじ。おばちゃんの推しコースで

*4:このタイプの女子は専門職、中でも医学部が人気ですが、実は医学部女子の人生設計、ASDにはものすごく難しい。医療従事者って意外に感謝されない、それどころかお世話した患者さんに怒鳴られたりセクハラされたりしてるんだよ。治療したくない患者も来るし、逆恨みもあります。感謝のいらない自己完結型の子や、小学校時代に妬み嫉みで絡んでくる輩を完全に攻略した人心掌握巧者でないと、すぐ鬱になります。みなさんね、自分のお子さんの力を最大限引き出したがりますが、尖ったところを振り回すより、懐刀、守り刀としたほうが幸福度が高まるかもしれないよ。早慶卒でポンコツ扱いされるより、関東上流江戸桜の割に出来る、って認識される方が幸福度高いってこともあると思うし…。高橋まつりさんのご冥福をお祈りいたします


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