前置きします。
発達凸凹子育てには王道はありません。
保護者は、子どもよりも経験はありますが、親としては初心者で、しかも多忙です。
衣食住だけでも大変なのに、親としての心構えに加え、精神科と心理学、教育論という3つの専門分野を網羅することなど不可能です。
また、ぴんと来ない方法を諦めず継続することはとても難しいもの。
(かく言う私、シールトークン法は何度やっても続けられません…)
スタンダードな関わり方や、ひとつのやり方にこだわらないでいいのです。
続かなくてよいのです。
親御さんか、またはお子さんが、ぴんときたやり方、気になる手法、たまには、えっまさか?と思われる「ダメ元でちょっとやってみようかな、と思える手法」を、各家庭各お子さん向けにアレンジして、試してみてください。
当研究所では、お子さま、保護者様、ご家庭の事情に合わせて、やってみたい!と思える手法を探り、を伝授しています。
どんな子に承認欲求の自己処理システムをプログラムするか
現代人にとってのラスボスとも言うべき承認欲求。
うまく付き合うには、自分と他者それぞれの承認欲求のなだめ方をインストールする必要があります。
初期設定がバグなしにプログラムされているかどうかは、赤ちゃん~幼児時代にはわかりません。
幼児期は、大人の一方的な承認を必要としているように見えます(実際は、そうとは限りません。大人を承認したいと思っている乳幼児、笑顔で大人を承認して満足している乳幼児がいる可能性もありますよ!)。
こだわりが強い、あまり笑わない、何をしても機嫌が取れないなど、どことなく変わった子かも…と思った時点で、承認欲求自己処理システムのプログラムの修正タイミングを検討しましょう。*1
では、どのようなプログラムを組むべきでしょうか。
もちろん、手法が確立されているわけではありません。
当方の考え方、一部ですが、示して参ります。
スタンダードでない子にスタンダードな手法は向かない
現在、療育や放課後デイ等で推奨することが多い子育て法は、ほめて伸ばす手法です。
私は、これを完全否定するつもりはありません。
確かに、心地よくほめられることで、脳機能は育つでしょう。
しかし、たとえ脳の伸びしろが無限でも、頭蓋骨という入れ物は有限です。
ただ伸ばせばいいというものではなく、慎重にバランスを整えなければいけないと思います。
2-5年程度の比較的短期的な信頼関係作りには、叱らずほめる、ほめほめ系の対応がとても有効です。
療育や園、小学校で過ごす期間ほめてほめてほめまくる、あるいは納得できる叱り方を徹底することにより、問題行動が減る効果や、得意なことを伸ばす効果は、明らかです。
しかし、ほめ療育によって問題行動が減らせる期間は、限られていることを知ってください。
ほめの必要量が満たし続けられ、理不尽に思うことの少ない環境、すなわち順境は、いつか終わります。
一般的な療育では「安心感を育みましょう、それを心の栄養として育っていけます」などと言いますが、それではどうにもならないから障害と呼ぶのです。
親が与えることのできる安心感の消費期限は短いです。
発達障害の子やグレーゾーンの子は、思春期に他者から承認・愛を得ようとするとき、無自覚に、幼児期から思春期前までに得たような特上レベルの濃厚な承認や愛を求めます。
安心な順境に長くいれば、承認欲求が満たされるかというと、多くの場合は逆です。ほめ支援や全面肯定タイプの支援によって、圧倒的に一方的に満たされた凸凹っ子たちは、世界の中心に自分がいると思い込みます。
長期的には、貶し(けなし)や批判だけでなく、社会通念上はちょっとした注意とみなされる他者の言動を、ハラスメント行為であるかのように受け取るようになったり、他者の気持ちがゴミのように思えてしまうようになったりして、環境適応がとても困難な人材となります。
貶しや批判を受ける機会は、減らせますが、無くせません。
*2。
社会に生きていく必要のある階層の子にとっては、集団適応の困難さは、大問題。
貶しや批判、いじめ、犯罪。減らすことはできますが、無くせません。
貶しや批判はつきもの、という前提で、かわすスキルを学んでおけば、適応の一助となるでしょう。
ほめ療育で自己肯定感を!という概念は間違っているわけではないのです。
しかし、
とにかくほめましょう、というのはあまりにも乱暴でしょう。
もちろん予告なしに辞めてしまうのもいけませんよ!(ほめてもらえなくなったのは自分が○○になってしまったからだ)と勝手に誤解したり、フラストレーションを言語化できなかったりして、人間不信になります。
ほめることには、叱ること以上に、人格を型にはめる強力な矯正力があります。
ほめは、強い洗脳をもたらす、諸刃のエクスカリバーです。
今スタンダードとされる発達障害児子育てでは、
諸刃の剣である「ほめ」を副作用のない万能薬と勘違いしているフシがあります。
他者からほめられるのが当たり前で育った発達凸凹子は、高学年以降の乗り越え方がうまくありません。
親や教師のほめ効果(承認力)や褒められる機会が減衰したり、「こういう人にこういう褒められ方をしたい」と尖鋭化したりするせいではないかと思います。
子どもたちにとって、満足な質と量の承認を与えてくれる相互承認供給システムは【友達】です。それが機能不全ですと、群れ(集団生活)で行き詰まりやすくなります。
批判覚悟で申し上げますと、まわりの大人が戦略なしに叱らずほめて育てるのは、挫折を先延ばししてしまうだけでなく、脳のバランスをかえって悪くしています。
知られていませんが、深刻です。
※私の主観です
バグのないコードを記述しよう!
知能は高いがどこか変、そんなお子さんの人類承認欲求補完計画のもとに育てるときには、
・短期的、長期的な誤学習に細心の注意を払いながらほめたり叱ったりする(ざっくり言うと、過程や自然体のよさを認める。結果をけなさない)
・そのたびに、ほめてあげられなくなる時、ほめても喜ばなくなる時が来ることを繰り返し予告する。
・他者によるほめ承認は、脳に対する飴のひとつ。脳は飴に強化されすぎてしまうので、気を付けさせる。
・他者の飴に頼らず、自分で飴を与える方法を身に付けさせる。
・親との信頼関係を傷つけないよう気を付けながら、時には猛烈に叱る。
・体罰をするならば、回数は思春期までに2-3回に絞りこみ、本人が本能的な恐怖を感じるぐらい。ただしトラウマになってもよいと親の責任で判断した場合のみ。
・理不尽に感じさせる居丈高な叱り方をする先生の角を矯めず、うまく利用する(親との信頼関係を強めつつ理不尽耐性を身に付ける機会として利用)
・大好きなことにはハードルをやや高くすることで、ほめすぎによる危険な偏りを防ぐ。
・苦手だけど頑張らせたいことはハードルを下げてほめるが、ほめっぱなしにしない。自分の成長に目を向けさせ、「自らの成長」を喜ぶように仕向ける。
プラス、可能であれば、いずれ年齢による成長がなくなるという自然の摂理を教えること。しかし、若い頃に身に付けた、頑張って成長しようという行動によって、一方的な衰えが起こるときの衝撃を和らげることができることについても教えること。
今回複雑になったので次回は、自分で自分をほめることについてシンプルに書きたいと思います。
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