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もしかして発達グレー研究所~凸凹ハートの幸せを考えるブログ by QOLT

なじめない、生きにくい。そんな子達の青い鳥ドコー?志村!後ろ後ろ!

【質問箱31】脳デカ族・脳デカ民とは〜高学年から癇癪、不登校中2男子の親御さんから〜

(2023.11.19修正しました。)(2023.4.16追記、脳デカ族は、2Eやギフテッド、発達障害などのように特異的な因子が明確な場合だけでなく、数値化されない何かが「あ、脳デカいな」ってカンジがする方のことを指しています。
取り回しにクセがあるとか、難しいかんじとか。高学力の親のもとに突如生まれた超ドンクサも高確率で脳デカ族です)

ご質問

初めまして。いつもブログやツイートを興味深 く拝見しています。

その中で「脳デカ」 という言葉が出てくるのですが、それについて詳しく知りたいです。

息子中二は昨年1学期の終わりから不登校になり、精神科で自閉症の診断がおりました。IQは (一般的に?)出ているということでWISC検査はしないそうです。 小学校高学年から少しづつ癇癪がひどくなりましたが外では完璧にいい子に擬態できる子だったので不登校になるまでは自閉症の片鱗にも気づけないでいました。

発達グレー研究所のブログを読むと息子も脳デカ族にあたるのではないかと思えるんですが、 そもそも私の頭が悪くあまり理解力がある方ではないので具体的に

「脳デカ族」の定義(のようなもの)
心構え
対処方法

などあれば教えていただきたいです。 お忙しい所申し訳ありませんがよろしくお願いします。


お答え

ブログ読んでくださりありがとうございます!

脳デカ族は、もしかして発達グレー研究所の造語です。

既存の言語で思考を表現しきれなくなって勝手に造語したんだ…ごめんね。誰にも通じなくても。でもその言葉イイネ!って言ってくださる方が増えてほっこり中。

というわけで、定義というほどの言葉ではないです。思考、感受性、長期記憶、なんぞを司る大脳新皮質あたりが相対的にリッチでボリューミィ。 
ただそういうイメージです。あまり深く考えないでほしい。Don't think. Feel.

…もう少し真面目に答えてほしいって?ごめんごめん。

脳がデカい、と一言で言っても、事情はそれぞれ。併存しやすいいくつかの特徴があって、物理的に大脳が大きい人でなくても脳デカ的な挙動を示します。

・各人種の平均値中央値最頻値と比べて、物理的に大脳が大きい
だけでなく、たとえば
・個体の頭蓋内容量や資源の配分の上で、大脳新皮質が出しゃばっている
・シナプス刈り取りがされにくい(又は温存期間が長い)
・後天的に思考や記憶によって大脳新皮質が優先的に発育
・脳に必要な血流のわりに心肺機能が弱い(脳が大量にエネルギー消費&老廃物排泄しているわりに、物資運搬力が足りない)

このような理由で、部分的に(大脳新皮質前頭前野、大脳辺縁系、脳幹など)の発達や神経伝達が滞っていたり、リソース不足があったりすると、問題となるのよ。

ちなみにASD児は頭囲が大きい、という言葉が独り歩きしてる。頭囲が大きくてもASDじゃない子もいるし、頭囲が小さくてもASDってことはある。ただ、ASD児の一部に、見るからに大きな頭部を持つ子の一群があって目立つのは確か。

脳デカ族にありがちな特徴


脳デカ族には、問題なく暮らしてる人と、そうでない人がいます。

頭蓋内の脳の発達やはたらきに不穏な偏りがある場合、後者となりがちなようです。
よく言われるのは発達障害者には自制心がないって話ですが、それは逆というか、自制が効かないのをそう名付けてみた、のほうが近い。

脳デカ族だと、大脳新皮質>前頭葉>前頭前野の働きが弱いというより、
・大脳新皮質的な思考や感受性のパワー
・大脳新皮質内の葛藤
・思考や感受性のパワーと、本能との葛藤
に圧倒されているという状態がよく見られますな。


現れがちな特徴としては
・非同期発達。
園や小学校において表立って問題化しやすい非同期発達の例としては、メタ認知能力、協調性運動、実行機能、忘れる機能、自己コントロール力(集団に寄せる本能)のプラグインの遅れ。 
で、この背景には、遺伝と、モッサモサのシナプスがなかなか刈り取られず「汎化」の機能の遅れがありがち。
逆に、脳デカの非同期発達であっても、汎化やバランス取る力が優先的に進んだ場合は、マイワシとしてブイブイ言わせつつ、感覚過敏も鈍麻も少ないスマートエリートになれる…気がしないでもない。


・超高感度センサー搭載(感覚過敏や感覚鈍麻の状態になったり、感受性豊かすぎたり、疳が強すぎたり)

・取り回しが大変*1

・メモリ大容量なんだけど、3D 4DX動画データたくさんぶっ込んだ「蔵」になってるもんで、メモリ食いすぎてて、もっさり感。なんなら頭悪く見える。

こんなとこかな。


幼児期学童期の問題と思春期以降の問題は切り離したほうがシンプルだし、本も売れます。
だけど、おばちゃんは特定の年齢帯の専門家ではありません。家族同様の熱量で、脳デカ族の長い人生を俯瞰しています。トータルで見ていく立場です。
その中で、目立たず水面下でメンタルの腐食が進むのは、記憶力や論理的思考、あるいは立体想像力、抽象的思考など、前頭葉を除く特定の脳機能区分が先に発達しすぎた場合が多いみたいです。※もちろん例外有りだよ


え、もっと知りたい?!
とても大事なことなので書き添えますが
ええと…その子のその時点での、頭蓋内容量は決まっています。頭蓋内をお弁当箱と考えてみてください。

大脳皮質の各部位(高度な思考を司る前頭連合野など)が大きすぎたり活動が活発すぎたりすると、辺縁皮質、中脳、間脳、脳幹、橋、延髄、といった、生命維持やバランスに欠かせない部位の活動が貧弱になってしまうことがあります。
そもそも、大脳辺縁系や脳幹は、ヒトが本を読むようになったことをおりこんでいないっぽい。まさか大脳新皮質でこんなにもリソースが消費され大量の老廃物(二酸化炭素、熱など)が排出されるだなんて、設計時の設定にないんじゃないか?


中身がバランスよく詰まっていて、かつ、補給と休養が適切になされれば、大脳皮質の1パート前頭葉ほかがバランスよく育ったかもしれません。その他、本能の育つ余地が生まれやすくなります。この場合、よくある2E(TWICE Exceptional)的なトラブルは起きません。
https://biolabo.exblog.jp/1242057/


その中で、気をつけてほしいのが
「家系的に脳デカ族なのにすごく良い子」
です。
ものすごく感受性豊かな子が、超高感度な五感をフルに稼働させて周囲に気遣いをしたら、どんな環境でも一見適応してしまいます。

でもやはり、危なっかしいんです。取り回しの難しい脳ですから、健全に維持、成長させるための補給とメンテナンスは当然欠けやすいのです。

デカい脳の機能を「環境適応」に全振りした子は、大人からすると子ども時代はとても育てやすく、褒めどころも満載なのですが、内面はどんどん完璧主義と過剰適応など極端な思考が高まっていきます。

「わかりやすい正解と絶対的リーダーがいる間」
は安定して見えますが、知能が高くなるにつれて信じられるもの安心できるものがどんどん減っていきます。
「良い子から降りないと耐えられないのに、降りられない」
とか
「正しく有りたいのに何が正しいのかわからなくなる」
「正しく有りたいのにできなくなってしまう」
などというジレンマに陥るまで数年です。
ある日突然猛烈な不安に襲われることもあります。

脳デカ族、脳デカ民だからといっていつか必ずトラブルが起こるとは限りませんが、おりこうさんであることに依存させるのはちょっと危ういです。
おりこうさんから降りられないまま大人になれば、ほぼ鬱確定です。良くいること、正しくあることに執着しているところがあるならば特に、あざとく生き抜くサバイバル術にも興味を持たせて頂ければと思います。

脳がデカい理由

ではなぜ、脳はデカくなるのでしょうか。
遺伝要因が大きいです。ハイ終了。なんてね。

遺伝だけではなく、外的刺激または思考により偏りが進み、個々の傾向が加速することもあるようです。

いずれにしても、脳が大きくなりたがるがままに育てていくと
「偏りを防ぎ、バランスを取る」
という機能のスイッチが切られやすくなるように感じます。

脳デカ族脳デカ民の歴史に学ぶ

もしかして発達グレー研究所では、
「今は問題を起こさない、大人になったギフテッド」
「大人になって行き詰まったギフテッド」
をはじめとする脳デカ族の、幼少期からのデータを分析して、おばちゃんトークに取り入れています。
(難関大学や難関医学部の方や、その低学歴な兄弟姉妹のエピソードものすごく面白いのよ、具体的には書けないけど、脳デカエピソードだらけ!)

長期にわたり観察していますと、それぞれに共通のエピソードが見えてきます。
いずれも、生存本能が弱いか、バグってる。

育ちっぱなしの大脳新皮質が苦手とする「揺らぎ(生存・生殖本能)」を前に挫折します。
それを機に、主に非言語下で「揺らぎ」との付き合い方の必要性を痛感し、「このままだと心身殺られる」
という感覚が本能にほど近い潜在意識に刷り込まれること、またその結果「どうしたら殺られないか、無用な排除を受けずに済むか」
の工夫を楽しんでいく…この一連のエピソードは、健全育成に寄与していると感じています(いや、あんたんちの子もそうだとは言ってないよ)。

心構え〜ご相談の多い脳デカ族

一方、当所にご相談いただくケースは、大脳新皮質が大きいだけの単なる脳デカではなくて、危うさ、危なっかしさの出てしまっているケースです。

・センサーが強すぎて、外界から得る刺激が多すぎてバグり散らかしている。処理に伴う脳の負担が過大。

・知的好奇心、規範意識の弊害(理想と現実のバランスが取れない)

・脳のアソビが少なく、生存本能や生殖本能が弱っている。あるいは、出方がチグハグ。(アレルギーやアトピーを含む)

・頭蓋内圧の問題(脳が大きすぎて脳脊髄液減少しミッチミチ状態、脳がむくみやすい状態も含む。ちなみに気圧の傾向をものすごく受けやすい気がする)

・前頭葉や視神経や脳幹や橋などなどが適切に発達する物理的領域や、エネルギーなどのリソースが不足

・リソースの循環と老廃物の排出がスムーズでない。

・トレーニングと休息のバランスが崩れてオーバートレーニング状態。

・知性や感受性の不完全燃焼による自家中毒的な反応。

などなど。

何らかの因子が相まって、癇癪が一向にやまないなど、一般的な子育て法では手に負えない状態になっていることが多いです。

こうなってしまうと、親を含む善意のサポートを拒絶することが激増します。
逆に全て人任せの無気力になることもあります。やりたくないことをものすごく嫌がる、みたいな訴えもあります。

対処法

発達の問題に見えるものの中で、脳がデカすぎることによるのであれば、知的障害児向けに蓄積された療育のノウハウでは対応できません。思春期以降が難しくなります。
*2

多くの場合、非同期発達が見られます。大脳全体または一部に過剰な負荷がかかっているために実行機能搭載が遅れている、または、メタ認知機能などは、最終的に高性能のものが搭載されるがゆえに機能がリリースされるまで10年以上時間がかかる場合があり、それなら急いでもどもならんししんどいだけと見立ててだから、この子の「その日」に備えて何ができるか、戦略を考えます。


やりたくないことをやらせようとすると、その過剰な負荷はより高まってしまいます。

必要だけれども本人がやりたくないことを厳選して、
「マジでこれどうにかしないと…やばいよね…」
ってターゲットを1つ選びます。複数のターゲットを並行して改善しようとするのは原則としてオススメできません(これ今じゃないな、と判断したら、変更宣言してください)。

そして、改善のための戦略を立てます。この戦略は個々に立てます。(本人がヤバいと思ってないと難度高いです。そのためおばちゃんいつも、なるべく小さい頃、なるべく知能が育つ前に、ぶちのめされてこい!そこから立て直すんだ!と言ってます)。

改善すべきことは明らかにしますが、正面突破は禁忌です。たとえば書字が死ぬほど苦手って子に、じゃあハイアンタ書字障害だから書字やるよーとかほんと今日からヤメテ。そうやってプライド朽ちさせたらもうなんの意欲もわかないよ。
*3

脳デカ族の不具合は、脳の過活動で脳みそパンパンか、過放電による虚脱か、…まぁいろいろあるけど、対処方法は、わりと一貫してる。

外堀を埋めていくとか、将を射んと欲すれば先ず馬を射よとか、戦わずして勝つとか、損して得取れとか、急がば回れとか、蛇の道は蛇とか、そういう系よ。


ターゲットは、親の側で勝手に設定しないこと。
「クセを緩和するために、一時的にほかのことに関する負荷を下げてみようと思う。実験的に。」
これをお子さんに伝わる言葉で共有してください。

ターゲットが絞られたり減ったりする中で言われなくなった課題点について、もう気にしなくて良くなったんだ!と思い込んだり、
「諦められてしまった。」
「見捨てられてしまった。」
「見くびられている。」
といった受け取り方をお子さんがしてしまうことがあるからです。

そんなこじらせて見えないとしても、必ずお子さんと育成戦略を共有する必要があると思います。嫌でしょ、自分の育成戦略練られてるのに、自分は蚊帳の外とか…。どうよ、あなたの旦那さんが内緒で「妻の家事スキルup計画」を目論んでいたら嫌でしょ。


具体的にどう関わっていくかは、個別に見ていきます。年齢や発達段階によっても異なります。ざっくり書こうと思ったけど腱鞘炎が…。
というわけでめっちゃ抽象的でごめんなさいだけどね、過剰適応こじらせASDだとすると、認知行動療法や、トラウマケア的な、記憶の解毒で良い方向に向かうかもー。


さて、かなり大急ぎで書いてしまいました。脳デカ族脳デカ民について、なんとなくイメージしていただけたらおばちゃんも嬉しい…ですが、はっきり言って言葉の意味とかなんとか、悠長なこと言ってる場合じゃないと思います。


就学、進級は、不登校であっても環境変化です。体の中でも変化が起きています。オスとしての本能が大脳に揺さぶりをかけてきたら、家は安心安全基地でもなんでもなくなるのです。ぬくぬくしてる場合ではないです。厳しいけれど、言葉の意味とか、匿名のおばちゃんにネットで対処法とか聞いてる場合じゃないですよ。 


以下のシリーズの記事は一応女子向けなのですが、自閉傾向と繊細さのある脳デカ族なら読んでおいてほしいです。完全に当てはまるということではなくてね。
noudeka.com


noudeka.com

*1:脳が大型トレーラーやF1カーのよう。取り回しが難しく最大排気量がめちゃくちゃ大きい。高熟練度のハンドルとブレーキ(前頭前野)とエンジン起動のコツ(報酬系)、メンテナンスと補給の方法について知らないままだとわりと邪魔。燃費の悪さ、出力安定さに伴うトラブルが起きやすい。燃料(酸素、安定的な栄養)がたくさん必要。

*2:幼少期に学んだソーシャルスキルは、大人の見張りがある環境では良いですが、シンプルすぎて、生身の人間と対峙するには不適切です。 「貸して」 「いいよ」 これを絶対視するのもまずいし 「貸して」 「嫌だ!」 とか、質問すれば善意の答えが返ってきてよしなにしてもらえるお子様待遇がいつまでも通じると思い込んでしまうとかって、かなり危険ですからね。知的障害児と違って、発達障害風味があるとね〜、記憶と思考が悪さするのを食い止めないといけないのに、療育とかご家庭で現実逃避気味な大人たちによって 「誰かが必ず助けてくれる」 とかいう危険思想植え込まれて忘れられなくて、現実の厳しさの前に絶望する…、という地獄。

*3:脳デカなのに書字障害とみなされるケースの多くは、不安、感覚過敏、3次元的理解、記憶の紐づけのせいだよ。煽ってどーすんの。筆記具持たずにできる改善方法を試すべきなのに、どこもかしこも正面突破にこだわるんだよ…まーね、 「やってる感」出るからね。うまくいくとどうして思うのか??


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